桜井茂男・黒田祐二 2004

動機づけ理論は学校教育にどの様に活かされたか 
心理学評論 47(3)

self-efficacy, intrinsic motivation, goal theoryの理論が、日本の学校教育にどのように活用されているかを検証する論文。これまでほぼ「第二言語習得」の分野の論文を読んでいたので、心理学系の論文を読むと、びみょーに定義などが違って戸惑う。上記の3つの理論も、私の理解とはなんだかちょっと違うような……。でも、これらはもともと心理学の分野で研究されてきたもので、それを第二言語習得に応用したものを今まで読んでいたわけで、こちらが本家なんでしょうが。
さて、論文の中身だけど、結論から言うと、これらの動機づけ諸理論は、日本の学校教育の現場ではあまり活用されていない(実際に、これらの理論を用いて生徒の動機付けの向上を目指す、などの活動はあまり行われていない)と言える。なぜ、理論が現場で使われないかと言うと、①研究者が、現場の教師に分かりやすい形で理論を伝えていない(研究者が研究のための研究をしていて、それを実践に活かそうという働きかけをしていない)、②教師がこれらの研究を知らない・授業に活かそうとしていない。③学校制度(カリキュラムなど)が、教師が子供の動機づけを高めるような授業をすることを阻んでいる(たとえば、生徒の自立を高めるために、生徒にテキストを選ばせる、などは無理)。
 これらの解決策としては、研究者と現場の教師がもっと交流して、協力的な関係を築く。現場からも研究者にフィードバックを与える。など。
今後読む文献=「授業研究21」2002 学ぶ意欲を引き出す授業開発、同2003 学習意欲の育て方・生かし方