Sheen, Younghee. 2007. The effect of focused written corrective feedback and language aptitude on ESL learners’ acquisition of articles. RELC 41, 255-283.
ライティングのwritten FBに関して、direct-only correction, direct-metalinguisitc correction, 統制群の三郡において冠詞の獲得という観点から検証。さらに、個人差である「language analysisをするaptitudeの要素」も検証に加えた。
まずは先行研究。オーラルFBに比べてwritten FBの状況が混沌としているのは、方法論上の問題が多くあるからだと著者は指摘する。方法論上の問題methodological issuesとは・・・。1.統制群を用いた実験が少ない。教師は「これはライティングのクラスだから」と思うと、何らかのFBを与えなくてはいけないと感じ、形式のCF(corrective feedback)でなければ中身のCFなどを与えたりして、本当の統制群がたてられない場合が多い。2.CFの効果の「測り方」が研究によって異なる。Truscottの言うように、revisionがimproveしたからと言って、学習が起こったとは断言できないだろう。
次に、異なったタイプのCFの先行研究。1. Robb et al 1986.FBの種類によって差はなし。2. Ferris 2002 は、indirect error correctionの方がdirect error correctionよりもmore beneficialと結論づけてる。なぜなら、indirect(正解を与えずに間違えだけを指摘)correctionが学習者にhypothetical testingを行わせることになり、deeper internal processingをinduceするからと。3. Chandler 2003.は、direct correcting の方がsuperior としている。indirectだとhypothesisのconfirmationまでに時間がかかるから。学習者もdirect correctingの方を好む。他の研究も考慮すると、indirectよりはdirect feedbackの方が良いようであり、これはoral feedbackの研究結果(=暗示的よりも明示的なFBの方が学習をより促進する)とも一致しているようだ。 しかしながら、これらの研究は「学習者の個人差」をきちんと考慮していないので、本研究では「個人差」(の中でも適性aptitude)にも焦点をあててみる。
aptitudeの定義がありp.259、その中でも、本研究ではlanguage analytic abilityを考慮する。
RQ1:focused written corrective feedbackが中級英語学習者の「冠詞」の習得に効果があるか。RQ2:metalinguisitc feedbackの有無は、学習者の冠詞の習得に影響を及ぼすか。RQ3:学習者のlanguage analytic abilityはどの程度CFの効果をmediate するのか。
研究方法:ESL環境の6クラスの被験者91人。Intermediate。direct-only correction group(n=31), direct-metalinguisitic group(n=32), 統制群(n=28)。story を読んで、そのstoryをrewriteするタスク。rewriteする前に教師はもう一度storyを読み、被験者はnote takingすることができる。研究では、冠詞の扱いのみにフォーカスしたが、それをmaskするためにCFは他の項目も混ぜた。
CFは、二種類。direct only=errorを指し示し、その上に正しい形を書いた。direct metalinguistic correction = エラーに番号がわりふられ、紙面の一番下に番号ごとのmetalinguisticなinformationとcorrect formが与えられた。これを2セッション。
testは、3種類。a. speeded dictation test. b. a narrative writing test, c. an error correction test.
aとcに関しては、pre, post, delayed postで同じテストが使われた(問題の順序はランダムに変えたが)。bに関しては、preとpostのみ同じで、delayed postは違うnarrativeだった(preliminary studyで学習者が同じnarrativeを何度も書くことに対してnegative reactionを示したから)。pilot studyで、この二つの異なったnarrativeがcomparableであることはテスト済み(t検定で有意差無し)。testはtreatmentでCFを行ったnarrativeとは異なるnarrativeを用いているので、これはnew pieces of writing へのCFの効果を検証することができるといえる。writing testはMuranoi, 2000 ( Language Learning, 50, 617-673)の学習者はlanguage analytic testも受けた。
結果
Speeded dictation testに関しては、Posttest2において、direct metalinguisticg群と統制群に有意差あり(p<0.05)。writing testに関しても、direct-meta群のみが上昇パターンをとっており、posttest2において、direct-meta群と残りの二群の間に有意差があり(p<0.01)。error correctionテストにおいては、post test1ではdirect correction, direct-meta群のいずれも統制群より有意に伸びていた。post test2では、direct correction群が統制群を有意に上回っており、direct-meta群はdirect群、統制群のいずれをも有意に上回っていた。時間を考慮にいれて、時間をdependent valuable 、CF treatmentをindependent valuableとして、ANOVAを行った結果、3群のパフォーマンスは有意に異なった。timeとCFの相互作用も有意だった。事後検定によると、posttest1と2において、direct-meta群が、direct correct群・統制群のいずれよりも有意に上昇。analytic testとのスコアの関連をみると、相関は有意だった。まとめると、direct meta > direct correct > 統制群
ディスカッション
written CFは、英語の冠詞を学習するのにpositiveなeffectがあった。特に、direct-matalinguisitc FBが効果的だった。これは、correctionを与えた群が、awarenessという観点においては、noticingのレベルにとどまったのに対して、direct-meta郡はunderstandingを伴ったawarenessのレベルにまで達したことによるのではないか(Schmidt 1995, 2001)。このようなunderstandingから生ずるawarenessは、later learningもfacilitateするとSchmidtは言っている。また、high language analytic abilityを持った学習者の方が、より両方タイプのFBからbenefitを享受したようである。
感想
デザインもよく、先行研究も徹底していて、統計方法も分かり易く説明されており、非常にためになる論文。再度読むべし。