Ferris. 2004. The “Grammar Correction” Debate in L2 Writing: Where are we, and where do we go from here? (and what do we do in the meantime…?). Journal of Second Language Writing. 13. 49-62.

タイトルどおり、L2ライティングの文法的CFに関する現状、今後の展望、示唆などをまとめた論文。結局、CFのefficacyに関する結論をだすには現状はまだまだincompleteでinconsistentなので、今後も実証研究を重ねなくてはならいないんだけど、どういう研究をすればいいかっていう示唆がてんこ盛り。

・Truscott(1996. Language Learning)のスタンスは、L2ライティングにおいて、文法的FBは学習者のライティングを向上させるにあたりineffectiveというもの。Ferris(1999 JSLW)は、この点に関してはまだ研究が未熟すぎて結論を出せない状況にあるし、Truscottは文法的FBがpositiveな結果を生み出したとするいくつかの研究を見落としていると反論。まぁとにかく、なんといっても、リサーチ不足だね、っていう結論に達した。

◆現状:既存のL2ライティングFBに関するリサーチを徹底研究してみると、3つの点が浮き出てくる。?big question「エラーFBはL2学習者のライティングを助けるか?」に関するresearch baseが適切ではない(inadequate), ?既存の研究はデザインがinconsistentなため、比較可能ではない、?既存の研究は、written error correctionのpositive effect をpredict(proveとまではいかないけど)している。
?に関して:CFを受けた学習者と受けなかった学習者の比較をした研究が非常に少ない(ethical dilemmaのせいで、教師はなんらかのFBを与えざるを得ない)。このcorrection/non correctionの比較をしている研究は6つのみで、そのうち一定期間にわたる効果を検証したのは2つだけ。6つのうち3つはerror correctionのhelpfulnessに関してin favor ofの結果を報告(Ashwell, 2000; Fathman and Whalley, 1990; Ferris & Roberts, 2001)、1つはpositiveなevidenceがあるけれどもnegativeに解釈しているもの(Kepner, 1991)、1つは情報不足でinconclusive、1つはerror correctionには利点がないとするTruscottの主張を支持するもの(Polio et al, 1998)。(表にまとめてある、p51)
?に関して。それぞれの研究のセッティングが違いすぎる。Truscottは、「異なる様々なセッティングの中で、同じ結論がでれば、それは『どんな状況でも同じ結論が出る』という意味で、結論をより強固なものにする(ここでいう『結論』とは、CFの効果がない、ということ)」と言っているが、Ferrisはこの論理はこの場合、的外れだと主張している。「同じ結論」はでていないし、研究はそれぞれreplicationをしているわけではない。研究のデザインがsubstantialに異なっている(p53、Table 2によく引用される4つの研究の相違点を列挙)。相違点=ライティングの種類、書き直しの有無、CFをした人、CFの種類、特定のerrorにフォーカスされていたかいないか、統制郡の有無、pretestの有無、posttestの違い。でもって、findingsもそれぞれ異なっている。
?に関して。Focus on Formに関する近年のSLA研究は、以下のことを示している。すなわち、化石化を防ぎlinguistic competenceを発達し続けるためにも、大人のL2学習者はerrorをsalientにしてもらう必要が特にある。L2ライティングのエラー修正の研究は、以下の3点でpositive evidenceがある。1.修正有無の学習者のaccuracyを比較した研究。2.時間の経過における学習者のaccuracyの発達をみた研究。3.学習者のエラー修正に対する考え方を調べた研究。(その後、これに反論する人への反論が続く)
現状のサマリーはp.55(1)-(3)。要するに、(1)control郡が無い・longitudinalで無い、という2点で研究が不足。(2)既存の研究の多くはhaphazardで比較できない。(3)にもかからわらず、以下のpredictionを述べることはできるんじゃないか。すなわち、a. 大人の学習者はerrorへのexplicit instruction とFBが無いと、化石化してしまい進歩しないんじゃないか。 b. FBを受けた学習者は受けてない学習者に比べて書き直しの段階で指摘されたエラーを修正する傾向にあり、このuptakeは長期にわたるlinguistic competenceの発達に必要なステップなのではないか、c. 学習者はおおむねエラー修正にattend toし、appreciateするので、このことが「より修正しより良いものを書こう」という動機付けの増加につながるのではないか。修正がなければ、anxietyやresentment、ひいてはdemotivation、lower self-confidenceにつながってしまうのではないか。

◆今後の示唆 where do we go from here?
統制郡の有無と、長期であるかないか、という点が今のところ問題点として多くあげられているので、まずはここをクリアにすべき。たとえば・・・
・同じinstructorに指導される二つのintact classで、一つは学習者のgrammar problemsに関してsummary end notesだけ(no in-text correction)を与え、もう一つはerrorの箇所でFBを与える。前者が統制郡ということになるが、FBは一応受け取っているので、ethicalジレンマは解決される。
・ボランティア学習者によるfinely tuned case study
比較可能な研究にするという点では、以下のことに注意する必要がある。p.57 表3
a. 学習者とコンテクストを報告する、b. どのエラーが検証されているのか。エラーとは何かの定義から始めること、c. consistent treatment/feedback schemesをprovideすること、d. エラーがどの様にカウントされたか、分析されたかを、システマチックに説明すること。
◆結論 what do we do in the meantime?
教室で学習者のライティングを見る、教師への実践的な提案(p.59の一番下(1)〜)。
とにかく、further research is necessary.