Julkunen, K. 2001

Situation- and task- Specific Motivation in Foreign Language Learning.
in Dornyei 2001b

言語学習におけるMotivationは、①生徒本来が持つパーソナリティの一部であるtrait motivationと、②学習環境に特有の「その場」のものであるsituation specific(learning context)に関するmotivationに2分できる。古くから①に関する研究が行われてきたが、最近は②にも注目が集まっている。本論文は、motivation②の中の、特にタスクに焦点をあて、タスクがmotivationにどの様な影響を与えるかをまとめている。
 著者の過去の研究において、2群にそれぞれopen/closed taskを、3つの異なるsituation(個人/協力的/競争的な環境)で実施した。個人とは、1人でタスクを行う。協力的とは、2・3人のグループで行う。競争的とは、他人と競争する。タスクは語彙タスク。タスクの前後で、生徒のstate motivationを測定した。タスクの前後におけるモチベーションの違いを見ることによって、タスクがモチベーションに与える影響がみてとれる。結果は、個人的・競争的な状況では、成績上位者はよりpositiveな結果を示しており、特にclosed taskでそれが顕著だった。協力的な状況では、全ての結果がpositiveであり、成績にかかわらず、またタスクタイプにかかわらず、もっとも動機付けの高い結果となった。また、おおむねclosedよりもopenタスクの方がより動機付けを高めるといえる。
 著者は、Boekaerts1987のモデルを引用しながら、タスクはsituation specificなmotivationに影響を与えるので、適切なタイプのタスクを、生徒に応じて効果的に使い分けることが重要であると述べている。
Boekaerts, 1987. Individual differences in the appraisal of learning tasks: An integrative view of emotion and cognition. in Communication and Cognition, 20.