Jacques, S. R. 2001

Preferences for Instructional Activities and Motivation: a Comparison of Student and Teacher Perspective.

Gardner以後、integrative/instrumentalとdichotomy的に考えられてきたmotivationが、今、boarderな枠の中で捉えられようとしている。その一環として、value-expectancy theoryがある。これは、人は自分のゴールに照らして価値があり(valuable)、関わりがある(relevant)と思われる活動をする傾向がある、という理論。たとえば、言語学習においても、生徒が自分のゴール・文化背景・価値・タスクの困難さ・パーソナリティなどに照らして、好みのタイプのアクティビティを決める、と言える。また、教師にも同じように、教授スタイルなどの好みがあって、これは必ずしも生徒のそれと一致するとは限らない。例えば、教師側がCLTを好んでいて、でも生徒の方はガチガチの文法授業をやってほしいと思っている、ということはよく聞くし、実際に自分が授業していてペアワークなどをさせても「こんなことしたくないのに」と顔に書いてある子は結構いる。そこで、本論文は、質問紙紙調査し、生徒と教師のmotivation, 両者が好むinstructional activitiesが2者の間でどのように異なっているか、を検証する。
 被験者はハワイ大学スペイン語ポルトガル語・フランス語を学ぶ学生828人と教員21人。生徒への質問紙は、motivation, expectancy, anxiety, aptitude(以上3つをPartAとする), preference for instructional activities(=PartB)などを聞く101項目から成る。教師への質問紙は、job satisfaction, career orientationなどを含むteacher motivationに関する質問と、生徒用と同一のpreference for instructional activitiesに関する質問。(100問の質問紙を生徒が終えるのに15-20分かかった。)
 PartB好みのアクティビティーを因子分析にかけ、生徒に関しては、5つの因子が抽出された(1 Practical Proficiency Orientation, 2 Challenging Approaches 3 Cooperative Learning 4 innovative learning 5 Traditional approach)。motivationなどに関するpart Aも因子分析にかけた。AとBの相関を見ると、motivationが高い学習者はchallenging Approachを好む傾向にあった。
 教師の結果はPartBはやはりpractical proficiency orientationが強かったが、生徒と異なる点としては、どのアクティビティに関しても、教師は肯定的(平均3以上out of 5)で、生徒はno English in classとCALLを否定的にみているが、教師はそうではなかった。教師のmotivationに関しては、不満足の1位が「仕事に対する金銭的対価」だった……どこも教師の給料は安いみたい。ただ、教師のintrinsic motivationは非常に高かった。教師のAとBの相関としては、「現状に満足している教員は、伝統的な教授法を好む傾向にある」などがわかった。
 生徒と教師のPartBの結果を比較する(MANOVA)。独立変数=教師・生徒、従属変数=5因子のカテゴリー。4のinnovative approach、1のpractical proficiency orientationに有意差があることがわかった。生徒と教師の間の差がもっとも大きかったのは、教師がchallengingなactivities/materialを使用するのを好むが、生徒はそれほどでもない、という項目だった。
 discussion. RQ1「生徒のpreference for instructional activitiesは、motivationに関連あり?」ある程度の関連は見て取れた。たとえば、「必修という理由だけでL2を学習している学習者は、言語学習そのものに価値を見出していないし、言語学習から何か価値あるものを得られると思っていない」「言語学習に高い価値を感じている学習者は、challengeを肯定的に受け止めている」など。
 RQ2「教師のpreference for instructional activitiesは、motivationに関連あり?」→「現状に満足している教師はtraditional approachを好む」などの傾向は示せたが、教師の質問紙の信頼性係数が非常に低く、結果はランダムに発生したものとも受け取れる。これは、被験者数が少ないから生じた不具合だろう。
 RQ3 「preference for instructional activitiesに関して、教師と生徒の結果に関連があるか」innovative approach、practical proficiency orientationに関しては有意に差があった。教師の方が生徒より、以下の点に強く同意している。challenging activities, authentic materials, pair and group work, goal setting, focus on listening and speaking with active student participation.
implicationとしては、motivationが違えば好みのアクティビティーも違う、などの個人差を考慮に入れ、生徒の好むアクティビティーが何かを探り、少しでも彼らの理想に授業を近づけよう、ってことかな。