Sakui,K. and Gaies, S.J. 1999

Investigating Japanese learners’ beliefs about language learning
System 27. 473-492

日本の英語学習者のlearner beliefを調査。興味深いのは、learner beliefをこのような形で質問紙調査しても、結果は信頼性のあるものなのか?というリサーチQを立てているところ(たとえばBALLIなんかはどうなワケ?とか)。beliefの定義についてもよくまとめられている。
RQ1.学生は、beliefの質問紙に対して、信頼のある答え方をするか? 質問紙を4週間のインターバルをあけて、2回実施。①郡はtest-retestで、②郡は2回目をword orderだけを変えて(the alternative form method)。被験者は1296人(大学生)。結果は、あまりよろしくない。「同じ答え方」をどの様に定義するかによってもかわってくる。A.同一生徒が一回目と二回目で同一の答え方をしているか、B.一回目と二回目で、全体としての結果が同一だったか。当然、Bの方が「ゆるい」方法である。Aは、45アイテム中(たった)13アイテムが、同一回答をした生徒が75%以上だった。Bは、34アイテムが75パーセント同一だった。②郡のword orderを変えた方に関してはもっと結果が悪くて、75パーセント以上の生徒が同一回答をしているアイテムはたった3アイテムだった。
RQ2.質問紙で得られた結果をconfirm/explainするのにインタビューは有効か?インタビュー調査をして、この乖離の原因を探ると、面白いことがわかった。1.アンケート実施の1回目と2回目の間に、実際に学習者のビリーフが「変わって」いる。2.beliefはuniformではなくsituationally conditionedである(たとえば、どの教師・どの授業をを念頭に置くかで答え方がかわってくる)。アンケートを答えたときに、どのシチュエーションを念頭に答えているかで、もちろん答え方がかわってくる。うーむ。このあたり、自分もこの「ひずみ」を最小限に抑える質問紙を作らなくちゃなぁ…と納得。3.回答者は、質問紙作成者の意図を汲み取ってくれない(勝手に解釈する)。4.回答者は、どう答えていいか悩むときは適当に回答する。
RQ3.日本人の英語学習者はどんなbeliefを持っていて、それらはどのようにorganizedされるか?質問紙の結果を因子分析にかけ、主因子法で因子を抽出、バリマックス回転にかける。4因子を抽出。因子の解釈は割愛。
まとめると、インタビュー調査は質問紙を補完するものとして非常に有効。belief調査の信頼性が下がるのは、質問紙のせいではなく、回答者の内面的な問題。