Hase et al (2005)

Hase, Hotta, Sano, & Ushiro. 2005. Teaching Reading without Japanese Translation.
英語授業研究会紀要 第14号 2005

 訳読の弊害を述べた上で、代替わり案として「平易な英語での言い換え」(パラフレージング)を提案する。パラフレージングの持つ利点の具体的論拠、その具体的指導案とともに、実証研究の結果も記されている。
 まずは、現状紹介。訳読が中心なのが質問紙調査で明らかになる。次に、パラフレージングのrational,
lesson planを中学・高校・大学と、レベルごとに紹介(割愛)。 生徒の反応は、というと、概ね同手法に賛同的。高校では、期末試験に関しては既存の訳読式で指導したクラスと、このパラフレージングクラスに点数の有意差はなく、実力問題では、後者の方が有意に優れていた。大学レベルでも、学生の持つ「和訳なしに英語を読むことへの抵抗」が低くなり、インプットの量(総語数)も増える、という利点があった。
 感想としては、訳読から脱して、「じゃあ何をするのか(どの様なリーディングの指導をするのか)」を考えたときに、非常に参考になる指導法。金谷先生の「和訳先渡し」が、結局は「和訳」に頼っているのに対し、こちらは「英語での置き換え」であるために、「一度日本語に直す作業」というのが省けるし、インプットも増える。トライする価値あり。