Students’ Perceptions of Teacher Behaviors As Motivating and Demotivating Factors in College Classes.
Communication Quarterly, Vol.40, No.3

Christophel(1990)の結果を受けて、今度は「教師の行動のうち、自分が○○を勉強するやる気を起こす要因となるものは何か」を、自由記述の形式で生徒から引き出した。RQ①大学講義において、生徒はどの様な要因をmotivatingだと思っているか、RQ②大学講義において、生徒はどの様な要素をdemotivatingだと思っているのか、③教師のどの様な行動を、生徒はmotivators/demotivatorsだとみなしているか、④生徒が、教師のどの様な行動が、大学講義におけるmotivation/demotivationに主たる影響を与えるとみなしているか。①②は、授業そのものに関して、③④は、教師のとる行動に関してをみる。
 調査はコミュニケーション概論のコースを受講した308人の学部生を対象とした質問紙調査。質問は、当該授業の「一つ前の授業」を対象に答えるように設定されている。まず「そのクラスで、あなたをやる気にさせたものは何ですか」「そのクラスで、あなたのやる気を低下させたものは何ですか」の質問に自由記述で答える。次に生徒は、教師の行動と生徒の動機付けを関連するpromptを提示され、それに関連した質問に答えた後、teacher immediacyを測定するための「教師がとる行動34項目」のリストを提示され、対象コースの教師がどれだけそれらの行動をしているかを聞かれる。最後に「このほかに、そのクラスで、あなたのやる気を影響したと思われるadditional thingsはありますか」という自由記述の質問で終わる。
 自由記述で得られた回答は、情報ごとにまとめられ、4つのカテゴリーに分けられてた。
 結果。RQ①に関しては、生徒は1450のmotivator descriptionを挙げており、これは20のカテゴリーに分けることができた。カテゴリーごとに、生徒の挙げた頻度をみてみると、1位=materialを知る必要性・欲求、materialへの興味(N=203)、2位=effective lecture, inspirational, excited(N=186)、3位=単位が必要・良い成績がとりたい(N=182)。カテゴリーは、「コースの中身」「ストラクチャー・フォーマット」「講師」の3つに分けた場合、生徒が「モチベーションに関連するファクター」として記述した内容は、それぞれ、コース=37、ストラクチャー=18、教師=44パーセントに分散されており、motivatingな要素として、生徒は教師に関する要素を最も多く挙げていることになる。
 RQ②に関しては、926項目あがっていて、1位=教師がつまらない・confusing(N=147)、2位=成績・宿題に不満がある(N=137)、3位=コースの構成とマテリアルに対するネガティブな反応(N=129)。RQ①と同じように分類すると、コースの中身=21、ストラクチャー・フォーマット=36、教師=43パーセントとなっていた。つまり、生徒は教師に関する要素をdemotivationの要因として最も多く挙げていることになる。
 motivating/demotivatinをセットでみると、「教師のeffectiveness/enthusiasm」に関しては、motivating factorの2位にランクされており、一方でdemotivating factorの1位には、effectiveness/enthusiasmの欠如が一位にランクされている。教師の生徒へのnegative/positive attitudeは、両者で4位となっている。
 prompt後の回答と比較すると、教師の要因に関しては、motivatingなものはprompt後のほうが多いが、demotivatingなものは、prompt前から多かったのが特徴。promptの有無が、(motivatingなものに関しては)生徒の回答に影響を与えているのがわかる。
 で、結論をまとめると、生徒は教師の行動を、motivationに関わる要因の「一つ」とみなしている。そして、教師のnegative behaviorとdemotivationは、positive behaviorとmotivationよりも強く結びついている。教師の要因は、overall motivationの44パーセントを説明する。教育的示唆としては、生徒がdemotivatingだとみなす具体的な行動が列挙されているので、それらを「しない」で、その逆のことを「する」のが、効果的に生徒を動機付ける方法であるといえる・・・かな。