Dornyei 2001 Chap. 1

Motivational Strategies in the Language Classroom.
Chap. 1 Background knowledge

successful language learningのためには、やはりmotivationが学習者に備わっているというのが大事。motivationというのは、何かの行動を起こす前提として個人に備わっているantecedentsであり、そのantecedentsが何か、というのが問題となる。人間の行動を、directionとmagnitudeという二つの軸から成るもの、と考えるとすると、motivationは、「ある行動をとろうと選択する」ことと「その行動のため、そしてそれを維持するためにかける努力」というdirectionとmagnitudeで表せる。しかしながら、人々のmotivationの実態は実に多岐にわたるので、完全な形でmotivationを定義することは不可能に近い。
歴史的にみていくと、motivationの原動力となるものは、20世紀の始めはフロイトの理論に代表されるように「無意識」だったが、20世紀半ばになると、行動主義心理学の影響をうけたconditioning theoryが優勢になり、パブロフの犬とか、スキナーのねずみとか、そう言った単純な「刺激→反応」の図式がメインストリームになる。1960年代からは、この流れに逆らうものとして、Maslowなんかがでてきて、もっとhumanisticな考え方をし、人間のmotivationの中心的な起動力となるのは、self-actualizing theoryだ、つまり、人間が、本来自分が持っている自分の能力を十分に発揮し、個人的な成長を遂げたいという欲望が、motivationの原動力となる、と主張した。有名なMaslowの「ニーズのヒエラルキー」(欲求の5段階?)なんかも、このへんよね。で、現在は、更に進んで、cognitive approachとなっている。cognitive approachは、個人の意識的な態度attitude、考え、信条、解釈などが、その人の行動をどの様に影響するか、にフォーカスをおいている。つまり、mental processがどの様にしてactionにtransformされるかに注目しているってこと。今日では実に様々なmotivation theoryが存在するが、そのいずれもが正しいことを言っているが、それらのtheoryは他のtheoriesのことを視野に入れていないために、いくつもの「正しい理論」が「断片的に」転がっているのが現状。
で、教室での教授というプラクティカルな視点にたつと、どのようなmotivation theoryを利用すればいいのかというと、これまたその場や生徒、教師、カリキュラム等々、変数に応じて使い分ける必要がある。第二言語習得の分野では、Gardner1979以来、言語習得には文化的要素が関与する、と言われてきており、1990年以降はこの分野でもmotivation理論がさらに複雑化してきた。Dorynei&Ottoのprocess oriented motivational theoryなどが近年注目のセオリーとして紹介されている。
さて、では理論を実践に移す手段を考える前に、3つのことを考える。1つ目は、誰かをmotivatingする(動機づける)とは、どいうことなのか? 人に何かをさせようとすると、実に様々なことをしなくてはいけない。説得し、行動を起こさせる、など。それをさせるには、単にその機会を提供すればいいだけのときもあれば、長い時間がかかる時もある。教室内での授業を考えると、motivating studentsは、いずれは実る結果につながっていくだろう、ゆっくりとした、ニュアンスの積み重ねのようなものである。無理矢理「やらせる」のではなく、facilitateしていくのだ。2つ目は、生徒のmoitavtionを高めるような授業とは、どんな授業か?という問題。結局のところ、motivatingな授業というのは、「効果的で良い授業」と共通項が非常に多い。裏を返せば、いい授業ができない教師にmotivatingな授業はできない。「良い授業」をするための指南書は腐るほど発行されているので、それはそっちを読んでちょーだい。3つ目は、学習者をmotivateするのは誰の責任か? 現状では「誰の責任でもない」という感じ。教師はカリキュラムを教えてればいい、という風潮があって、motivation無しではそれが難しいという事実も無視されている。現に、教師教育においてmotivationの要素を重要視している教師教育プログラムは存在しない。著者は、現状では、「学習者をmotivatingするのは、生徒の長期的な発達を視野に入れている教師の責任」であるのではないか、と考えている。
 最後に、motivational strategiesについて。本書では、process-oriented modelにしたがって、①まずは基本的なmotivational conditionを提供する ②initial motivationをgenerateする ③motivationを維持し、保護する ④肯定的な回顧による自己評価を促す の4段階でmotivational strategiesを考えていく。このstrategiesは、しかし、あくまでも提案のようなものあり、決してgolden rulesではないので、先生方は自分の生徒を理解してから、生徒にあったstrategiesを自分なりに工夫して使ってね、という結びの言葉で終わっている(この章は)。