Dornyei 2001 Chap. 2

Motivational Strategies in the Language Classroom.
Chap. 2 Creating the basic motivational conditions
2章からは、Process oriented approachに基づくストラテジー紹介に入る。ここでprocess oriented approachを簡単におさらいしてみる。motivationは、時間的経過やタスクの種類、授業の進めかたなどの要素に影響されて「変わる」ことがある。だから、motivationの概念に、time dimension(temporal axis)を取り入れ、各フェーズごとに適したストラテジーを使って、生徒のmotivationを向上・維持しよう、というのがこのアプローチの根底にある考え。まず第一に、motivationが発生すべき基本的なconditionを作り上げてから、生徒の内にmotivationをgenerateするように働きかける。次にgenerateされたmotivationを維持・保護する。第三に、学習者が自らを振り返り、自らを評価する。これが、次のmotivationにつながる。
この章は、最初のステップのうちの、「motivationが発生すべき基本的なconditionを作り上げる」ことについて述べている。いわば、precondition(①appropriate teacher behavior & a good relationship with students ②a pleasant and supportive classroom atmosphere ③a cohesive learner group with appropriate group norms)を整えるってこと。以下はポイントだけ抜書きする。
①について。生徒の動機づけに最も大きな影響を与える要素のひとつとしてteacher behaviorがあることは著者やChamberらによってempiricalに立証されている。教師が教室内でとる行動全て、何らかの形で生徒のmotivationにインパクトを与えるというのは、教師なら誰でも感じていることであり、それは正しい直感である。teacher behaviorについて、著者は熱意、生徒の学習への献身・期待、生徒との関係、生徒の親との関係の4点に絞って述べている。
熱意を持って教科を教えること=自分がなぜこの教科に関心を持っているかを生徒に伝え、それを生徒と共有する→「なんでこの先生、こんなに英語が好きなんだろう…あ、そうか、英語って、こういう風に面白いからなんだ…」→生徒に教師の熱意が伝染する(=教師がrole modelとなっている→生徒も英語好きになる ってことかな。また、生徒は教師が自分達(生徒)に関心をもっているか敏感に察知するので、教師は生徒に対して献身的・協力的になり、生徒をcareしていることを生徒に伝えるべき。教師が生徒に関して無関心な態度をとると、それだけで一気にmotivationが下がる。生徒の話をよく聞く。また、teacher expectationはしばしば生徒の成績を左右する重要な要素なので(ピグマリオン効果が実証されてる)生徒に対してはhigh expectationを持とう。それから、親は生徒に対して影響力を持っているので、親と良い関係を作ることも大事。Gardnerによると、L2学習においては、親は、子供のL2コミュニティーに対する考え方や態度を形成するにあたっても少なからず影響している(私も、お母さんがドイツ語と英語で外人と話しているのを見て感動したっけ…)。
②の「共感的・受容的な雰囲気を作る」に関しては、L2学習の場合は特に大事。いわば、子供の様に言語をカタコトで話したりするなど、「恥ずかしい」体験をしなくてはいけないから。言語不安は、成績に影響する大きな要素であることも分かっている。常に「受容tolerance」し、生徒が失敗を犯しても大丈夫な雰囲気を作るべき。ユーモア(←結構忘れがちな要素)などを交えて。physical environmentも、生徒がリラックスできる雰囲気であるように。パペットなんかもどんどん使えばいいんじゃない?
③に関して。cohesive(みんな”together”)なグループができるために10の要素が挙げられている。なかでも「お互いを知る」ことは、ペアワークを工夫することで可能になるし、physical distanceも生徒を立ち歩かせることにより、短くなる。などなど、教師ができる働きかけは結構ある。授業内の「約束事」も明示的に話し合って決めたほうが良い。例として「生徒へ・教師へ・全員へ」のルールが上げられている。生徒と「教師に対するルール」なんてのを決めるのも面白いかも……。また、決めたことは先生が筆頭に立ってきちんと守り、守るように指導しないと、生徒は「な〜んだ、別に守らなくてもいいのか」となってしまう。