Dornyei 2001. Chap. 3

Dornyei 2001. Motiational Strategies in the Language Classroom
Chap 3. Generating initial motivation
社会人になってから、よく周りの友達が「学校で勉強できるって、実は素晴らしいことだよね。高校の頃もっと真面目に授業を聞いとけばよかった〜って思うよ。今ならもっと真剣に授業を受けるのに・・・」というのを聞く。裏を返せば、学生時代はmotivationが低く授業に積極的に参加していなかったけど、今はreadyな状態で学ぶことに対するmotivationが高い、ということか。こう感じたのは、著者Dorneyiがこの章の冒頭で、「本来人間は純粋に学ぶことが好きで好奇心に満ちているのに、学校教育においては生徒がその本来の姿を見せない。なぜかというと、学校に行くことが義務になっており、生徒は自分が大事だと思うことではなく、社会が大事だとしていることだけを勉強しなくてはいけなくなっているから」と述べているから。で、教師としては、この現実にいかに対処すべきか?というのがこの章のアドバイス。①学習者の目標言語に対する価値とattitudeをenhanceする ②学習者のexpectancy of successを高める ③学習者のgoal-orientednessを高める ④teaching materialを学習者にとってrelevantなものにする ⑤現実味のあるlearner beliefをつくる の5つ。
 一つ目に関して。「価値観」とは長きにわたり培われてきたものなので、教師の働きかけでちょっとやそっとで変わるものではないが、全く変えられないというわけではない。その方法としては1.強力なrole modelを見せる(生徒と近い立場・年齢のrole modelの方がよい)。2.persuasive communication, 3. participate in powerful learning experience. また学習者文化的なバリアーを破り学習者の内にintegrativenessを育て上げるために、目標言語の文化を紹介したり、差異を話し合ったり、個人的な体験を話したりしてawarenessを高める。他に、授業でauthenticな材料を使ったりinternetなどで目標言語の文化に時下に触れさせたり。instrumentな価値もまた、訴えるべき(英語が話せるとこんなに得することがあるんだよーなど)。
 二つ目について。学習者が「自分は成功するだろう」と思えるポジティブで楽観的な状況をたくさんつくる。具体的には、じっくり準備させる(プレタスク活動をする、解説を詳細にする)、手助けをする、生徒同士でも助け合いさせる、「成功」のクライテリアをはっきりさせる、「成功のモデル」を見せる、学習の障害となるものを取り除く(または、あらかじめ学習者に知らせておく「難しいかもしれないけど」「時間足りないかもしれないけど」)。
 三つ目は、学習者に自分のpersonal goalについて話し合ってもらう。goalはそれぞれの学習者によって驚くほど違うけど、「みんなgoalが違う」というのを認識すると、かえって「学級目標」を打ちだす議論が盛り上がる。「個人のゴール」(きっと多様なゴールがあると思うけど)、「学校教育の拘束」(今年のシラバスはこれです、と上から押し付けてしまうけど)「成功のクライテリア」(試験とか成績ではなく、目標言語を勉強することによって得られる益を明確にする)の3点に配慮しながら、「学級目標」をうまく打ちたて、それに向かって進んでいく雰囲気がつくりあげられれば、motivational battleに勝ったも同然。そして、このクラス全体の言語学習のゴールは、学習が進むにつれ、その進度(達成度)とともに何度も確認していこう。
 四つ目は、生徒が「意味がある」と思うことをなるべく多く学習に取り入れることによって成される。現状では、教師は「受験」「カリキュラム達成」などのプレッシャーから、とにかく生徒に知識を詰め込むことを最優先させがちだが、それでは生徒のmotivationや興味は低下し、長期的な学習にもつながらない。このギャップを埋めるために、少しでもテキストを生徒にとって興味深いものにするために、工夫が必要。生徒のバックグランドや日常の体験に、テキストを結びつけるような使い方をするなど。また、そのためには、生徒が興味を持っていること、面白いと思うことはどんなことなのか、生徒をよく知らねばならない(needs analysis)。エッセイのお題を「明日学校が休講になったら何する?」「今私が最も興味のあることは…」などにして、生徒個人を良く知ろう。しかし、何も生徒のことだけでなく、時には(生徒の未知の)「大人の世界」を題材にしてもよい。
 五つ目は、leaner beliefに関して。言語学習に関しては「それはあり得ないよ〜」という偏見を持った学習者も大勢いるので(英語は5歳から始めないとダメ、とか)、誤ったlearner beliefは早いうちにはっきり訂正しておくべき。学習者とよく相談して、ピラミッドディスカッションなどやって、false beliefをはっきり否定した方がいい。まずは、HorwitzのBALIIを使って学習者がどんなleaner beliefを持っているのか調査することから始める。