Dorynei 2001 Chap. 4

Chap 4. Maintaining and protecting motivation
 Chap 3でgenerateされたmotivationは、学習している期間失われないように、actively nurturedされなくてはいけない。その方法は、①から⑧。
 ①learning processを刺激的で楽しいものにする。現状は、「授業はつまらないもの」という構図ができあがっていて、「楽しんでいる様では大したことを学習していない」と教師も生徒も思っている。テストに重点をおくばかりに、product(テストの点など)が重視され、学ぶことのprocessが軽視されている。生徒は年齢的にも非常にアクティブで体を動かしたい時なのに、じっと座っていなくてはいけない。と、否定的なことはいろいろあるが一方で授業を生き生きとしたものにするための効果的なストラテジーもある。1.単調でない活動をする(以下にバラエティを取り込む。タスクの種類、コミュニケーションの手段、指導形態、プレゼンテーションのスタイル、教材、生徒の授業への関わり方、教室環境)。時にunexpectedなことをする。2.タスクを面白いものにする、3.生徒のinvolvementを増やす。
②タスクをmotivatingな方法で提示する。タスクは学習の良い機会だということを分かってもらうように話し、全体の授業や目標におけるタスクの位置を明らかにする(なぜ今ここでこのタスクをやるのか)、教師もタスクを楽しんでいるように見せる、routine activitiesには何らかのtwistをいれる、タスクを遂行するための適切な指導(ストラテジー指導、手始めに何をすべきか、など、モデリングしてもよい --- never explain, demonstrate!)をきちんと時間をかけて行う、など。
③具体的で短期的な学習者ゴールを作る。言語を学ぶ究極の目標は「目標言語の話者とコミュニケーションをするため」だけど、これは非常に長期的なゴール。もっと短期的な、achieveし易いゴール「も」設定するとよい。ゴールを一度設定したら、途中でそれをevaluate/modifiedする、教師のfeedbackも忘れずに。
④学習者のself-imageを守り、自信を持たせる。例えば、成功を体感させる、学習者をencourageする、言語不安を取り除く、learner strategiesを教える、など。具体的には、成功を体感させるためには、がんばれば誰もができる易しい(けれど易しすぎにない)タスクから学習を始める、学習者が「出来ること(出来ないことではない)」を測定するテストを作る。encouragementに関しては、学習者が自分の長所に気づくような、encouragementをする。教師が、学習者が「できる」と信じていることを学習者に伝わるようなencouragement. 言語不安に関しては、生徒同士を比較しない、競争を助長せず、協力・協同を促す、全ての誤りを直そうとしない(自分の誤り体験を告白し、誤りから学ぼう!という姿勢を見せる)など。learning strategiesは、学習がどうしていいかわからず不安な時にとにかくしがみつくことができるものだし、ストラテジーを上手く使うと学習効果も高まる。詳細はOxford 1990, Cohen 1998を。同様にcommunicative strategiesも教えるといい。
⑤学習者にポジティブな社会的自己イメージを持たせる。生徒にとって学校は単なる学びの場であるだけでなく、自分の社会生活の場でもある。よって、授業の出来具合は生徒個人の社会イメージとも関係しており、失敗がイメージの低下につながることを考えれば、授業が社会的な自己イメージに与える影響は大きい。生徒は社会的自己イメージを低下させないように必死(例えば「俺赤点だったけど勉強してないからさ〜」「勉強全然やってねーよー」などと、テストの点が悪いのは自分の能力不足ではなく、単に勉強をしていないだけ、と誇示するなど…)だったりする。それゆえ、学習者のポジティブな社会的自己イメージを育てるようなlearning processを生み出すようなmotivational strategiesは有意義だといえる。つまり、学習者のacademic goalとsocial goalを結びつけることができたら、学習者を動機付けることがより簡単になる(勉強のできるヤツはかっこいいんだー!俺もがんばるぞー!ってことかな)。例えば、生徒の誰もに、一度は「すっごくいい役、中心的な役」を演じる機会を与える。ロールプレイがその簡単な方法だけど、何もロールプレイに限らなくてもいい。生徒の持つ「長所・強み」を上手く利用して、生徒に社会イメージが向上するような体験をさせる。逆に、生徒に恥をかかせるようなことは絶対にしてはいけない。
⑥学習者の間に協力的な雰囲気を作る。クラスが協力的だと、学習に対する態度・自己イメージ・自信などが高まる(Slavin 1996. p 43)。また、言語学習ではcommunicative competenceをつけるためにはペアワークやグループワークも必須なので、クラスが協力的なほうがよい。協力的なクラスがmotivationに与える影響も多い(メンバーのために一生懸命になる、貢献度を上げようとがんばる、共通のゴールを成功させようとがんばる、autonomyになる、などなどp101。effective cooperative taskの特徴は、1.グループは3〜6人の少人数性2.お互いを助け合いながらタスクが遂行されるようなつくり3.予め学習者にgroup skillをトレーニングしておく(人の話を良く聞け、自分の論の理由を言えなど)。
⑦leaner autonomyを学習者の内につくる。そのためには、学習のプロセスに学習者をinvolveさせる(できるかぎり、学習者に「選択」させる→自分が選んだので、自分で責任を持つ、生徒の貢献度をあげたり、ピアティーチングをencourageする、プロジェクト型の課題を与える、学習者にself-assessmentをさせる)、教師がteachingをやめ、facilitatingをするよう心がける、などのことをしてみては。
⑧学習者が自分で自分を動機付けることができるようなストラテジーを教える。Usiodaの著書にもあったように、本来は、教師が生徒を「動機付ける」というよりも、教師は生徒が自分からやる気を起こすのを、どの様に手助けするか、というスタンスであるべき。具体的には1〜5の5つの側面がある。1. goalへのcommitmentを促す(常に成功を意識させ、目標を達成しようという意識を鼓舞させる。失敗したらどうなるのかというマイナスなこともイメージさせる)2. 生徒がmetacognitive に自分をcontrol できるようにする。常に集中するように自分自身に呼びかける、宿題提出などのdeadlineを自分に常に意識させる、distracterがあっても意識的にそれを気にしないようにする、 集中して学習にとりかかる「きっかけ」作りをする、3. 目新しさを意識的にとりいれる(飽きないために)4.感情を生徒が自分でコントロールようにする、5.学習環境を整える 6.学習者の内に、motivationをあげるための効果的なストラテジーに関するawarenessを高める(いつ、どんなストラテジーを使えばいいのか、学習者が知っていないといけない)。

Oxford 1990. Language Learning Strategies: What Every Teacher Should Know. Cohen 1998. Strategies in Learning and Using a Second Language. Slavin 1996. Research on cooperative learning and achievement: What we know, what we need to know. in Cotemporary Educational Psychology 21, pp. 43-69.