Dornyei 2003

授業準備や息子の入学準備に追われて、また更新をさぼってしまった……。今日からはドルネェイの質問紙調査に関する本を読んでいこうと思う。Questionnaires in Second Language Research: Construction, Administration, and Processing (Second Language Acquisition Research Series)

Dornyei. 2003.
Questionnaires in Second Language Research.

社会科学系の研究において「質問紙調査」は最もよく使われる手法であるが、実は誰もが信頼性と妥当性のある「きちんとした」質問紙を作れるわけではない。この本は、第二言語習得の分野の「きちんとした」質問紙を作るためのpragmaticでpracticalな手引き書のような本。研究室にもあったのだけど、これはぜひ手元に置いておきたい1冊だなぁと思い、珍しく購入してしまった。
Chap 1. SLA研究における質問紙。 質問紙(questionnaire)の定義、質問紙で測定できるもの、質問紙の利点・欠点が紹介されている。質問紙の欠点として……答えがウソかもしれない/表面的なものしか測れない/回答者にやる気がないといい加減に答えられてしまってデータにゆがみが生じる/回答者が不注意で記入ミスをする/double checkできない/真実ではなく、『社会規範』に合った答え方をしようとしてしまう回答者がいる/消極的同意(どう回答すればいいかわからなかったり、「びみょ〜」と思った場合は、「同意」してしまう)をする傾向がある/ハロー効果(大好きな先生に関する質問紙は全部肯定的に答える、など)/疲労効果(質問紙が長すぎると最後は嫌になりテキトーに答える)など がある。最後にopen-endedな質問は控えた方が得策とのアドバイスあり。理由は、答えが主観的なったり、uncodable, inappropriateだったして、時間をかけて回答してもらったわりには結局研究には使えないから。また、回答者が「時間がかかるから答えを書きたくない」と思い、ひいては「もーめんどくさいから質問紙自体に答えない」と思ってしまうことにもなる。面接調査など別の手法を使うことにより、open-endedな質問は極力控えるべき(少しはあってもいいけど)。