Dornyei 2003 Chap. 2

Chap. 2 Constructing the Questionnaire
質問紙を作る手順:1. general feature(長さ、フォーマット、主なパートなど)を決める 2. アイテム(質問)作り 3. 質問を選び、シークエンスを決める 4. 指示文、例を作る 5. パイロットをしアイテム分析をする。
 <general featureに関して>長さ:4p以内に収めることが望ましい。4pだと30分でOK。回答者の立場に立ってみると、「回答者にとって大事なこと」であれば、回答者もwilling to spend their time on answering the itemsなので、もっと長くてもいいかも。分かりやすくプロフェショナルなlayoutというのも実は非常に大事。
よいlayout:①booklet(A3を2枚織り込んで製本した形)②混みすぎでないレイアウト(余白も大事)③読みやすいレイアウト ④良質な紙を使う。薄いベージュの色つきの紙を使うと、回答者にも「こんないい紙捨てにくい」という心理が働いて捨てられにくいとか……。また、用途ことに色を変えたりすると、回収後弁別しやすい ⑤numberingもローマ数字や普通の数字を用いて効果的に。Section I, question 2a など。こうすることにより、「カテゴリー」の概念が回答者にもわかる。言うまでもないが、質問の途中で改ページするのはNG。
confidentiality:「教師を評価する」などの特にsensitiveな質問に関して、記名式のアンケートの場合は、confidentialityを具体的に分かりやすく書いておく。無記名の場合は、より「正直」な回答が得られると考えられているが、これはやや複雑な問題。記名と無記名で、回答の方法は(大人の場合)変わらない、とする研究がある(Aiken 1997)が、「恥ずかしい」「脅威的」な問題であれば無記名の方がいい。しかし、無記名だと、質問紙の結果をその個人の他のデータ(成績、1年後の質問紙の結果など)と比較できない。
<the main parts of a questionnaire>
title:回答者がcontent schemaを形成するためにも、具体的なタイトルをつける。
instruction:general instruction=何のための調査か、なぜこの調査が社会的に有益なのかを説明し、正直な回答を求め、confidentialityを述べ、謝辞を述べる。(本文と区別できるように字体を変えたりハイライトしたりする) specific instruction=taskに特有の指示をできるだけ明確に与える。スケールの説明など。
additional information:質問紙作成者(研究者)の連絡先、返信の仕方など。final thank youも。
<質問の中身とスケール>質問の中身:まずは質問紙の中身を考える。自分の研究のどんな部分を質問紙に落とし込みたいのかをはっきりさせる(質問は焦点を絞って。なんでもかんでも聞きたいこと全て聞こうとすると、長すぎてNG)。そのためには、focus group interviewなどの先行的なqualitative studyをして、問題点や興味深い点を洗い出してみるのもよい。そしてtheoretically sound short list of specific contentを作る。このlistにのっていない点を聞いているitemは削除する。また、このリストをもとにmulti-item scaleを作る。
multi-item scale: attitudeやbeliefを測る質問紙では、actual wording of the questionsがその答えを大きく左右する(例えばforbidを使うのとnot allowedを使うのでは、結果が異なってくる)。少しでもscientificに正確な質問紙を作成するために、the same targetを聞くのにいくつかの異なった聞き方をする。それらの答えを合計すると、個人のズレがaverage outされる。ただし、聞き方によっては回答者が「この質問とあの質問は、同じことを聞いている。俺が正直に答えてるかチェックしているのか?」と感じ、negativeなイメージをもたれてしまうので注意が必要。
<質問の具体的な方法>スケール(尺度):Likert scaleに代表される最もよく使われる手法(段階的に同意・非同意を示す)。このスケールを使う場合、statementはpositiveかnegativeに特徴的なものでなくてはならない(そうでないと、「同意する」「同意しない」と判断しにくい)。尺度は2〜7までのうち、大体5〜6位に設定しているものが多い。奇数にすると「どちらでもない」という尺度ができるが、この選択肢が存在することにより、「ま、これにしとこう」とeasy way outしてしまう回答者がいるので、著者は奇数ではなく偶数(6)の尺度を用いている。
semantic differential scale:対義語を並べることでアイテムが簡単に作成でき、読む字数が少ないので回答にかかる時間が短くてすむという利点がある。
rank order items:リストから自分に合う選択肢を選んでランク付けしてもらう。これはその後のstatistical procedureが複雑なのでおすすめできないと著者は言う。うーむ。
open-ended question:時間がかかる、信頼性を保ちつつcode化することが難しいという欠点はあるものの、研究者が予期できない回答を得られるなどの利点もある。著者はopen-ended qを含めることを勧めている。その際、注意することは……。1. 質問紙の一番最後に位置づける 2.全く自由な記述とするよりは、少し制約を設ける(clarification q/sentence completion/short answerなど)。
<itemの作成p51>いよいよ具体的なitem作成に入る。まずは、思いつくitemを列挙し、item bankを作る。その際、インタビューやメモ書き、他人の発言など、使えそうな素材は全て使う。先人が作ったアンケートなどももちろん使用可。itemに関しては……短く簡潔に。形容詞は具体的に。否定形はできるだけ避ける。1つの質問で2つのことを聞かない。全回答者から同じように回答されるであるitemは作らない。undesirable social behaviorについて聞くときは(p58)……あたかもそれがよく行われているように聞く、それを「やる」かどうかを聞くのではなく、当然「やる」こととして「どれ位やるか」を聞く、その行動を正当化するために権威者を使う(研究によって明らかになっていることだが……など)、その行動をした理由をつけて質問をする、など。答えが守秘されることも強調する(可能であれば無記名にする)。itemが完成したら、それをグループ分けする。itemが論理的なシークエンスにのっとって登場しないと、回答者もイライラが募る。itemのフォーマットやトピックなどに添って分類する。この際、multi-item scaleの同じことを聞いている質問は、近すぎない方が良いので、同じようなトピックをまとめてカテゴリーを作り、4−5問おきに同じことを聞いている質問を配置する。名前や性別などのfactを聞く質問は一番最後にまとめておくのがいい。
<pilot>質問紙ができたら、必ずpilotをしてitem分析をすること。まずitem bankを作った段階で少数(4,5人でいい---家族とか友人とか)にitemを回答してもらい、その反応を見たりフィードバックをもらったりする。回答する際に、作成者本人がそばにいて、回答者の反応(躊躇・とまどい)を観察するのがいい。この時、1. 分かり難い質問 2. 必要ない質問 3. 答えにくい質問 を挙げてもらうと同時に、できる限りの改良のためのアドバイスをもらうようにする。二回目のpilotは、なるべく回答者に近い人々にしてもらう(50±20人位が好ましい)。その後、item分析をし、無回答・全回答者完全同一回答などを取り除く。