Richard, J. C., Tung, P., and Ng, P. 1992.

The Culture of the English Language Teacher: A Hong Kong Example
RELC Journal Vol.23 No. 1. 1992

質問紙と面接調査で、香港の英語教師の信条を調査。主に、以下の5つの点を聞いた。結果とともに。
①教師がESLカリキュラムをどの様にみているか。たとえば、「香港の学校教育のシラバスは、英語教育の目的を反映している」と思っている教師はたった3割。他に教室での英語使用や、英語を学ぶ目的などを聞いている。②言語教育・言語学習に関する教師の信条。教師が英語の授業をする際に、最も影響を与える要因は、self-reflection(39パーセント)、教師教育(38パーセント)、学習者としての過去の経験(36パーセント)など(p5)。③教師が教室内の指導をどう見ているか(割愛)。④自分の役割を教師がどの様に見ているか。「良い教師のcharacteristicsとは?」という問いに関しては、最も多かったのは、「生徒をmotivateできる」(52パーセント)。これって、教師が「生徒をmotivateできる」力を重視しているってことだよね。そのほか、「教室内における教師の役割」(有用な学習経験を与える、正しい言語使用の例を与える、学習者の質問に答える、学習者のエラーを正す、など)、「できる生徒とはどんな生徒か」(動機づけのある生徒、speak outする生徒、誤りを恐れない生徒、など)などが聞かれていた。⑤教師が自分の職業をどうみているか(割愛)。
これらの結果を、1.experienced teacher(教員経験6年以上)とそうでない教員、2.trained teacher(recognized teacher qualificationを持っている教員)とそうでない教員、という視点で分析し、両者の間に差があるかを検証した。差があった領域は3つ。香港における英語教育およびそのアプローチをどう見ているのか、教室内での実践、professional support/developmentに対する考え方。
カイ二乗検定の結果…experienced teacherは、そうでない教師よりも、言語教育の実用性に気づいている。英語を教えることは、生徒が大学受験に成功したり、仕事を得たりするのに有用と考えている。経験の浅い教師、non-trained教師は、文法理論は英語を教える上で有用と考える傾向にある。教室内の活動に関しては、inexperienced teacherの方がより頻繁にdialogを暗記させる活動を行っており、ライティングのために別教材を使用している。独自の教材を作ったりはするが、written mediumにとどまっている。対して、more experienced teacherはビデオやオーディオ教材を使うなど、紙媒体以外も使用している。母語の使用に関しては、trained teacherは難しい文法項目を説明するなど、特別の目的を念頭に母語を使用するのに対し、non-trained teacherは母語・目標言語を必要な時に切り替え、ちゃんぽんで使っている。また、experienced teacherは、より、研修やin service coursesが教育の最も重要な源だと考える傾向にある。
このほかわかったこととしては、香港の英語教師はプロフェッショナリズムを持ち合わせており、英語教育が生徒にとって重要なものであり、その質の向上が求められていると感じている。しかしながら、教師は、over-workload, working environment and external constrainsなどの問題も抱えている。
私見としては、「何をみたいのか」が絞りきれてなくて、あいまいな印象。どういう計算をしてこういう数字がでてきたのかも、書かれていない。ただ、アンケートに関する記述は参考にはなるかも。あと、動機付けを教師が重視している、というクダリもあったので、引用できるか?