Hyland, Chap. 6

続き・・・ Chap. 6
New technologies in writing instruction
テクノロジー(主にパソコン・インターネット→Information and Communication Technologies, ICT)が第二言語習得およびそのライティングに及ぼしている影響は大きい。理論面での検証、どの様にそれらを役に立てるか、をここで整理する。CALLの時代は、初期のドリル的使用から問題解決的使用を経て、現在では「コンピュータを使って学習者が他の学習者とinteractするsocio cognitiveな利用」となってきた(Warschaure and Kern, 2000, Network-based language teaching: concepts and practice)。
Word processing and writing teaching:cut & pasteなどの機能により、書き手はlinear constraintsから開放されて、アレコレ構成を変えたりできるようになった。でも、コンピュータの使用が、作文の質の向上に直結したかというと、一概にそうとは言えず、研究は今のところmixed results. 結局、パソコンは単なるtoolにしか過ぎず、どうやってそれを使いこなすかが問題。学習者がパソコンを使いこなせるように、教師は適切な指導、タスク、サポートを与える必要がある。使うかどうかではなく、どうやって使うか、が問題。具体的には、①キーボード操作・ソフトウェア操作の指導、②パソコンを使って作文する際の明示的な指示を与える(cut & paste、エラーチェックの方法など。最初は作文ではなく、単にパソコンを扱うことの指導を)、③ライティングのクラス(の、他のタスク)とパソコンをうまくintegrateさせる(パソコンが活動をdominateしないように!)。パソコンを用いて、ワークショップの様に生徒に個々に作業させ、教師がその間を巡視するというパターンがより効率的だとする研究もあり(Bernhardt et al, 1989)。全体的な指導(プレライティング、ポストライティング活動)と、ワークショップ(個別のライティング作業)を組み合わせるのがよいかも。
Online writing:word processingが単にtoolであるのに対し、onlineにすると、他者とのコミュニケーションが可能になる。ただしCMC(computer mediated communication)導入には注意が必要。CMCは、学習者にとってはライティングをmotivateする環境ではあるものの(アイディアを交換したり、collaborative writingをしたり)、CMCがライティングの質の向上につながったというconclusiveなevidenceはまだない。初中級の学習者には、synchronousよりもasynchronousの方がよい。E-mail exchangeは、文化交流やL1話者との交流も可能にする非常に有意義なツール。(p. 157に研究引用などあり)。
Internet resources for writing:インターネットはまた、ライティングのresourcesを提供する場にも成り得る。プロジェクトのためのデータ、授業で使える情報・タスク、分析するためのauthentic languageなどにネット上で提供されている情報を利用することが考えられる。Dudeny (2000), The internet and the language classroomなど、ネットを使ったタスク活動の参考になりそう。が、これらの膨大な情報は、学生が剽窃行為をするresourcesにもなり得るので、この辺りも注意が必要!エッセイを売るサイトや、剽窃行為を見つけ出すサイトの紹介もあって、覗いてみる。面白いけど、両方とも有料(当たり前か)。 他には、米国各大学の提供するOWLs(On-Line Writing Labs)などにも、ライティングのためのシラバスやtipsなどがあり、ためになる(例:Purdue大学のOWLをのぞいてみた。なるほど、なかなか使えそうな優れもの→http://owl.english.purdue.edu/owl/)。もちろん、ライティングに特化したCALLソフトウェアも数多く世に出回っており、中には内容も充実したものもあるが、これらをどう使うかはやはり教師の腕にかかっている。本当に使う必要があるか?ってこともよく考えて。
Corpora and concordance:疑いも無く、L2ライティングには有用なツール。ただし、レベルの低い学習者にはかえって負荷になるので、これも使い方には要注意。
まとめ:「なぜコンピュータを使うのか」「学習者はどの様にしてコンピュータを使うことの恩恵をこうむることができるか」「どうやって、コンピュータをcoherent writing classに最も良くintegrateさせることができるか」 をよく考えて、学習者のレベル、コースの目標などに応じた使い方を!appendix 6.1(pp.174-176)に有用なwebのリストあり。