Ken Sheppard, 1999. Two Feedback Types: Do They Make A Difference? RLEC J, 1992, 103-110.
生徒のライティングに対して教師が行う二つのタイプのFBの有用性を検証した論文。A=discrete-item attention to form(教師が個々の文法エラーを全て指摘し、カンファレンスで教師はそのミスを生徒と話し合い、生徒はrevisionを行う。ここで取り扱われるのは、エラーのみ)。B=holistic feedback on meaning(教師は「ここが不明瞭。別の言い方はできない?」などというコメントを書き、カンファレンスで生徒とそれについて話し合う。ここどえは、あくまでも書き手が何を言わんとしているか、という意図を汲み取ることを目的とする)。このトリートメントを10週間行い、トリートメントの最初と最後のプロダクトを比較した。被験者数はそれぞれのグループ13人ずつのESLの大学生。データ分析では、以下に焦点をあてた。①動詞が正しく使われているか、②sentence boundary markersが正しく使われているか(カンマなどのpunctuation)、③文の総数における従属節subordinationsの割合。これらが正確に使われていた時、その数をカウントした。
結果:トリートメントの前後で、両方のグループの生徒の①②③の数の増減をt検定したところ、①②に関しては、AB両グループに有意な伸びがあった。③に関しては、Aに有意な減少があった。これは、Aグループは従属節を使うことにより多くのミスを教師に指摘されたことにより、生徒は従属節を使用する難しさに気づき、「間違うなら使わないでおこう」と従属節を使用することを回避したためと思われる。Bでも従属節は減少したが、有意な差ではなかった。次に、グループ間の伸びの有意さであるが、②punctuationに関してのみ、Bの方が有意に伸びてきた。つまり、グループBの生徒達の方が、sentence boundary makersを有意により多く正確に使えるようになったということ。
考察:この結果は、よく言われる「意味に焦点をあてたFBと文法に焦点をあてたFBであれば、後者の方がよいだろう」という説を塗り替えるものである。request for clarificationによりholisticallyに生徒の作文にFBを与えれば、そしてカンファレンスでそれをケアすれば、意味に焦点をあてたFBも十分に有用である。