Sachs & Polio, 2007, Learners’ uses of two types of written feedback on a L2 writing revision task. SSLA, 29, 67-100.
学習は「気づき」によってもたらされる。そのため、ライティングにおけるwritten feedbackは、学習者にフォームにcognitive comparison をさせ、gapに気づかせるという、「気づき」を与えるようなものであるべき。しかし、ライティングに関しては、教師による文法的要素に関するfeedbackの効果は疑問視されている(Truscott, 1996)。また、その形式も、どの様な形式がよいのかは、意見の分かれるところである。通常の教師が学習者の誤りを何らかの形で訂正するerror correctionに代わり、Qi & Lapkin (2001)は、reformulation(L2学習者の作文を、母語話者が内容は変えずに、できるだけネイティブの様に書き直すこと)に注目した。彼らは、ネイティブライクなpositive modelingは、error correctionよりも効果的に学習者を助けるのではないかという。
RQ:①reformation条件とwritten error correction条件において、彼らの作文のrevisionにrelative linguistic accuracyの差がでるか? ②reformulation条件は、自分達が行うrevisionにおいて、言語に関してどの様なawarenessを持って行っているか?(think-aloudを使って彼らの頭の中を探る) ③reformulation条件群がrevisionをしている間にthink aloudをするのとしないのでは、linguistic accuracyに差がでるか?(think aloudをすることにより、通常よりも、意識度が高くなったり、よりよく記憶したりして、よい良い学習につながるのではないか?または、think aloudが認知負荷をもたらし、学習が悪くなることもありうる)
実験:3つのコンディションが作られた。①error correction、②reformulation、③reformulation + think aloud。反復測定で、ESL学習者15人が、①〜③を行う(学習効果を相殺するために順序はカウンターバランスで)。火曜日に6コママンガを描写する作文を書き、木曜日に自分の作文が①②いずれかの状態にされたものを15分間、オリジナルの自分の作文と比較し、金曜日に自分のオリジナルをreviseする(このとき教師によるエラーのフィードバックやreformulationにはアクセスなし)。③の場合は、木曜日にthink aloudもする。で、オリジナルとrevisionに関して、文法的な誤りを特定・記録した。文法的な誤りに関しては、作文内の全てのTユニットを吟味し、それを4つにカテゴリー分けした(PC:部分的訂正、CC:完全に修正、UC:訂正なし、NA:修正の必要自体が無い)。PCとCCは、accuracyの変化を意味し、UCは誤りがあるにもかかわらず、その誤りが修正されなかった(進歩がなかった)ことを意味する。NAは修正する必要がないユニットなので、計算からは除外された。
結果:RQ①に関して。文法的な誤りがrevisionにおいてどれほど正確に修正されていたかを、error correction条件、reformulation条件で比較してみた。ウィルコクスンの符号付順位検定を行ったところ、error correction条件の方が有意に高かった。インタビューから得られた発言によると、被験者にとってはerror correction条件の方がreformulation条件よりもエラーを見つけるのが容易だったという。
RQ②に関して。think-aloudの分析の結果、エラーに対する「気づき」が合った場合には、気づきがなかった場合と比較すると、より修正される傾向にあった。「気づき」の中でも特に、修正の理由や、メタ言語を使用している場合、よりrevisionでの修正につながっているようだった。
RQ③に関して。think-aloudした方が、結果が悪かった。後のインタビューでわかったことだが、やはりthink aloudすることで集中力がそがれてしまい、修正部分を学習者が暗記できなかったようだ。think aloudは、よく言われるように、負荷を増やしてしまう方向にはたらいたようだ。

追試:反復測定ではなく、それぞれの条件に独立な被験者を割り当て、統制群も含めて4郡とし、一回目の作文とrevisionの作文の間に週末が入るようなスケジュールで追試を行った。revisionにおける正確な修正度合いの高さの結果は、error correction郡87.6%、reformulation郡72.9%、refo+think-aloud郡70.5%、統制郡55.2%で、クラスカルーウォリスの順位和検定したところ有意差があった。マンーホイットニー検定をしたところ、error correction郡とreformulation郡には有意差があったが、reformulation郡とreformulation+think aloud郡には有意差がなかった。全ての郡は、統制郡を上回っていた。つまり、reformもerror cも、有用ではあるけれど、error cの方が良い結果を生んだということ。

考察:結局、reformulationよりもerror correctionの方が、revisionにおけるより正確な修正に結びついたといえる。なぜなら、error correctionの方が、誤りの場所をsalientに学習者に見せているから。15分という短い時間の制約の中で、error correction郡が最も多くの時間を、「誤りを見つけ、それがどう直されているかを覚える」ことに効率よく時間を使うことができたのだろう。think aloudのデータからは、学習者が「気づく」こと(さらに、修正の理由がわかっていること、メタ言語でそれらを説明していること)が、修正に結びつくということがわかった。think aloudは学習者の負荷を増やし、結果としては学習に負に働いた(think aloudしなくてはいけなかったため、そちらに時間をさいてしまって、学習者はエラーが教師によってどの様に修正されたかを暗記できなかった)。think aloudの使用や、その結果の解釈には注意が必要だと言える。この実験について言うと、think aloud組にはextra timeを与えるべきだったかも。トリートメントの内容が違えば、タスクにかかる時間も違うわけで、全ての郡のタスク時間を同一にするというのは、ある意味フェアではないかもしれない。