Ellis, Sheen, Murakami, Takashima. 2008.
The effect of focused and unfocused written corrective feedback in and English as a foreign language context.
System 36. 353-371

定冠詞と不定冠詞について、Written Corrective feedbackの効用を調べた。
被験者=日本人大学生49人。focused CF群(18人)、 unfocused CF群(18人)、 control group群(13人)。pre-test, immediate post-test, delayed post-testを実施。内容は、picture storyを使用したnarrative writingのテストとerror correction test(pre/post)、最後に質問紙調査も行った。treatmentとしては、focused CFとunfocused CF群は3つのwritten narrativeに関して、feedbackを受けた。focused CF群は冠詞に関するFB のみにフォーカスしたFB、unfocused CF群は冠詞だけでなく、その他のlinguistic errorsも指摘したFBを受けた。コントロール群は“Good!”などのgeneralなコメントだけを受けた。
スコアリング:以下の方法でobligatory occasion analysisが行われた。まず、aとtheがobligatoryに必要なoccasionを全てidentifyして、それぞれのoccasionに関して、適切な冠詞が用いられているかをチェック。冠詞が使われるべきなのに使われていなかったり、aとtheが間違えて使用されていたら、それをnon-supplianceとみなす。必要なときに正しく使われていたらcorrectとする。
accuracy score = total number of correctly supplied article ÷ total number of obligatory occasion
つまり、1が最高。

結果:writing testに関して。pre-testとpost test1を比較すると、三郡とも有意にimproveした。pre-testとpost test1に関しては、グループ間のスコアに有意差はないものの、post test2(delayed)のスコアをグループ間で比較すると、実験群2群の方が有意に高かった。focused群とunfocused群の間には有意差はなかった。   error correction testに関して。post testにおいては、実験群が二群ともに統制群より有意に点数が高かった。実験群二群の間に有意差はなかった。
ディスカッション:統制群がpre, post1, post2のテストにおいて有意な変化を見せなかったのに対し、実験群はいずれも伸長を見せた。実験群に参加した被験者は、「冠詞の正しい使い方を学ぶ」ことを意識していない(事後質問紙調査でわかった)にもかかわらず、この様なgainがあった。また、post testは単なるpre-testのrevisionではなく、全く新しいwritingだったということは、Truscottの1996や1999の主張「CFはrevisionを助けはするが、acquisitionには影響を及ぼさない」と相反する。実験群の中では、冠詞のみのCFにフォーカスしたfocused群とそうでないunfocused群 に有意差はなかった。しかしながら、長い目でみるとfocused群の方が習得度合いが高いといえる結果がdelayed post testから見て取れる。どれくらいフォーカスするかってところは、大事な問題。
 結論:CFは有効であり、Truscottの「ライティングにおけるCFは無駄」という指摘と相反する結果が生まれた。ただし、これはあくまでも冠詞の使用法に限ったことであるので、今後さらに様々な文法項目が検討される必要がある。経験則的に習得しやすい文法事項を習得するのにおいては、CFは有効と言えるかもしれないが、more complex grammatical featuresに関しては、Truscottは正しいのかもしれない。著者の考えとしては、やはりあれこれとCFをするよりは、ポイントを絞ったフォーカスCFが効果的であるのではないか。