Kennedy, C. & Kennedy, J. 1996.

Teacher attitudes and change implementation. System 24:3.
 attitudeと実際のbehaviorの間のギャップを、Ajzenのsubjective normとperceived behavioral controlの理論に基づき説明している。例として、イギリスの「ゴミのリサイクル」に関する例と、とある英語教師のエラーコレクションの例が並んで挙げられている。イギリスでの調査によると、「ゴミはリサイクルすべきだ」というattitudeの人が多かったが、では実際にゴミをリサイクルしているかと聞くと、実際のbehavior(ゴミをリサイクルするという行動)をとっている人は少なかった。つまり、attitudeとbehaviorの間にギャップがあった。また、ある言語教師は、「学習者のエラーは即座にその場で訂正しなくてもいい」という信条を持っているにもかかわらず、教室内では即座にエラー訂正をしている。
この信条と行動の差を説明するのがsubjective normとperceived behavioral control。イギリスでは、「ゴミをリサイクルしない」という人々への社会のnegative attitudeが十分に強くない(=lack of societal disposal)というのがsubjective normに関するもので、実際にリサイクルしようとすると、面倒だったり物理的に不可能だったりして、行動に結びつかない(too many obstacles)というのがbehavioral controlに関するもの。
なるほど、これは、「現場で教師が生徒の動機づけを高める指導法をしようと思っていて(信条)も、周りの目・学校の規範?(subjective norm)や、様々な制約があって実践に結び付けることにくじけてしまう(behavioral control)」ことも説明できるかもしれない。
で、著者はこの理論は、「教師の信条の変化が実際の行動の変化に結びつかない」(教員が研修などを受けてそれに感銘しても、現場に戻った際にそれを実際の指導に活かせない)ことの理由を説明できる理論だと論じている。また、例えば、学習指導要領など、カリキュラムが変化しても、教員はその変化に実際の行動を合わせられない(これは吉田らの研究でも明らかになっている)。social norm(学校の教師、生徒、保護者の作り上げる規範)が新学習指導要領にあっていないからだろう。生徒の人数や環境を考えると、新学習指導要領に応じた指導もしにくいことからbehavioral controlがかかり、結果として、指導は既存ものとなんらかわらない、ということになる。
つまり、このモデルは、行動の基にある信条と、実際の行動に関するcomplexityをよく説明している。implicationとしては、信条を調査するだけでなく、実際の行動まで視野にいれた調査をすべきであること(教室観察など)、その際にはsubjective normやbehavioral control も加味すること、など。
Ajzen, I. 1991. Attitude, Personality, and Behaviour.