Basturkmen, Loewen, Ellis. 2004

Teacher’s Stated Beliefs about Incidental Focus on Form and their Classroom. Applied Linguistics 25.
communicative teachingにおけるfocus on formに関して、英語教師のstated beliefと実際のbehaviorを比べて みた研究。特に、あらかじめどんな文法項目を指導するかは決めていない、incidental focus on formの指導を検証した。まず、teacher beliefとpracticeには、当然だけど何らかの関係がある。が、しかし一方で両者の間に乖離がある、とする研究も多数ある。両者のギャップを生む要因としては、role of context, constrain, time/material不足、生徒の力不足、生徒の動機付けの低さ、など。特に生徒にかかわる要因が大きい、とRichards1998, Bailey1996は指摘する。また、beliefを取り上げる際の問題点として、beliefを正確に把握することの難しさが挙げられている。多肢選択やshort answerなどの方法では、自分では意識していないbeliefまでを引き出すことができないから、open-endedな質問を質問紙に加えたり、in-depth interviewをするべきだとMunby1984, Kagan1990などは主張しているらしい。うーむ。それを言われてしまうと……質問紙だけで済ませようと思っていたのですが……。しかも、practiceをチェックするに当たっては、やはり教室観察が必須でしょう。うむむ。
 とにかく、この研究に戻ると、この研究は3人のEFL教師の信条と実践に注目し、その際を検証してみた。結果は、教師はそれぞれ持っているbeliefが異なっている、信条と実践の間には、関係があるものの、一部では乖離が見られるものもあった、など。特に「focus on formは、生徒のメッセージを理解する際に起こる問題に対して持ち上がってくるものであるべき」という信条に関しては、実践との不和がみられた。この様に、両者が完全に合致しないことから、「信条だけでは実践をはかり知ることはできない」というPajare1992の論が支持されることとなった。特に、planned behaviorではなく、incidental behaviorを「実践」と捉えたため、なお更ギャップが生まれたのかもしれない。
 このような乖離が起こる要因としては、situational constrainが挙げられるとする研究は多いが、本研究では教師の口からそのconstrainが言及されることがなかった。教師たちは、信条と実践に矛盾があることを理解しつつも、自分の行動を正当化しようと努めていた。が、これはインタビューにおけるelicitationのテクニックなどにも影響を受けているかもしれない。