Peacock, 2001

Pre-service ESL teachers’ beliefs about second language learning: a longitudinal study. System 29: 177-195
英語教師を目指すESL teacher courseの学生146人の言語学習に関するビリーフの移り代わりを調べた研究。RQは、①trainee ESL teacherとexperienced ESL teacherの間に言語学習に関するビリーフの違いがあるか、②3年間のESLレーニングの間に、trainee ESL teacherのビリーフに変化は見られるか、③trainee ESL teacherとexperienced ESL teacherの間にある差異は、trainee ESL teacherの言語学習にnegativeに影響しているか(English proficiencyとの関係)。BALLIを使用して、言語学習に関するビリーフを調べた。
結果は、①両者の間に差があった項目は、言語学習のビリーフのコアとなる部分に見られ、具体的には「外国語を学ぶことは、主として新語を大量に暗記すること」(traineeの方が有意に同意)「外国語を学ぶことは、主として文法規則を学ぶこと」(同)「2言語以上話せる人はintelligentである」(同)の3点。これは、trainee teachersが、間違った言語学習に関するビリーフを持っていることを意味している。②に関しては、1年次と3年次で、ビリーフに大きな変化が見られなかった。これは、これまでの先行研究にある「教師教育は、教師のビリーフに大きな影響を与えない」という一部の研究と一致している。③に関しては、proficiencyの低いtrainee teachersほど、上記の二つの項目に関して、「同意する」人が多かった。
まとめると、traineeらは、経験のある言語教師とは異なったビリーフを持っており、そのビリーフは、detrimentalなものである。また、それはtraineeら自身の言語能力にもネガティブに影響を及ぼしている。このdetrimentalなビリーフは、教師教育を受けても変わらず、変化しにくいものだといえる。教師が持つビリーフは、教師の教え方、ひいては生徒の言語学習感にも関わってくることなので、この結果はかなり「悲しいもの」である。好ましい教師のビリーフを形成するような教師教育プログラムが望まれる。