Rollinson, 2005. Using peer feedback in the ESL writing class. ELTJ, 59(1), 23-30.
ピアフィードバック(PFB)は有用であると言われてはいるが、実際に自分のクラスで導入する教師はまだ少数派だし、その有用性を疑問視する生徒もまだ多い。本研究は、PFBのpro & conをまとめ、運用上のアドバイスを提供している。
現在までにわかっていることは……良いライティングにはrevisionが必要/書き手はspecific audienceのために書く必要がある/良いライティングにはmultiple draftが必要で、それぞれのdraftの段階で、介入が必要/ピアは、様々なレベルで、有用なFBを与える/ピアレスポンスのために学習者をトレーニングすることは、better revisionとoverall improvement in writing qualityにつながる/教師とPFBは、complementaryに使うのが最も良い、など。しかしながら、PFBに否定的な声もある。PFBの効果を最大限に引き出し、学習者が「PFBって役に立つ!」と思うには、十分に準備をすることが必要。
まずは、なぜピアによるFBなのか?ということ。①ピアは有用なコメントを与える。Caulk (1994)もよると生徒の89パーセントはPFBはusefulだと答えている。②生徒は、PFBに基づいて効果的に書き直しをしている。③教師のFBとは質が異なっている。教師はgeneral, PFBはもっとspecific。④他人の作品のcritical readerになるということは、自分の作品にもよりcriticalになることにつながる。⑤FBをするピアは、audienceにもなるので、作文の「宛名性」が確保されることになる。⑥ピアはmore distantでjudgmentalな教師よりも、more sympathetic。⑦PFBをすることにより、生徒同士に対話がうまれ、両者の間で意味交渉などが行われ、コミュニケーション活動にもなる(←TLでFBを行えばね…)。⑧PFBは教師のFBよりもinformalなので、生徒の動機付けを高めたり、一方的な教師のFBに対する良い変化となる。⑨大量のFBをしなくてはいけない教師よりも、PFBの方が密度が濃かったり、immediateだったりする。⑩PFBは、生徒の「ライティングに対する姿勢」attitude toward writingにも影響をあたえる。
では、PFBの問題点とは……①時間がかかる(FBをする行為そのものはもちろん、その前にエッセイを読んだり、または生徒をPFBのためにトレーニングしたり)、②生徒の性格(「ピアが与えるFBなんて…」という気持ちでPFBを軽くみたり、「友達を批判できない」と、批判的なコメントを避けたり)、③教師の立場の難しさ、など。
では次にトレーニングの手順。①教師があらかじめ決めておくこと……oral FBかwritten FBか? どのようにレスポンスセッションをorganizeするか?個人かグループか? どのような手引きリストを使うのか? ②pre-training: awareness raising(何のためにPFBをやるのかを明確にさせておく、教師がPFBの実例を見せる)、productive group interaction(協力的にFBを与え合うための戦術・エチケットなど教える・話し合う)、productive writing and revision(どの様なPFBが効果的なのか、どうすれば効果的なPFBが与えられるか話し合う)など。③intervention training:問題が発生したら、教師はそれを解決するために、介入指導する。ad hoc trainingみたいなもん。
結論:とにかく、きちんと準備し、きちんと生徒をトレーニングすることが必要。上手く使えばよい結果に結びつくだろうが、運用上の不適際があって、よい結果が生まれないことも多々あるので、教師の力量が試されるのかも。
感想:一度実践したけれど、どうもうまくいかなかったPFB。チェックリストを配って、ちょっと説明した程度では「ちゃんと準備した」と言えないからか。トレーニングをきちんとやって、試してみようか、どうしようか……。